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2011/09/09| 七福萬来

プライド

・・・あっ！そうだ。ランチを誘ってみよう！・・・

東京・青山でひと仕事を終え、時計を見るとお昼前でした。

私の好きなプロダクトデザイナーである枩山（まつやま）さんは、表参道に事務所を構えています。

１０年前から仲良くさせていただいています。

「河北です。近くにいるのですがランチでもご一緒いかがかと思いまして・・ご都合いかがでしょうか？」

「いいですねぇ。是非！」

枩山さんと一緒にいるととても心地よいのです。

年は私よりも３つ上なのですが、物腰やわらかで、いつも私の話を聞いては笑みを浮かべてくれます。

「これよかったら差し上げます。」

事務所を出る時に１冊の絵本をプレゼントしてくれました。

会社に戻り、その絵本を開いた時から、私の五感が騒ぎはじめました。

この絵本は、この事務所が制作したものなのですが、ただの絵本ではありませんでした。

とある印刷会社の紙と印刷技術の見本帳として依頼され枩山さんに事務所が制作されたものだったのです。

全ページ紙質が違い、特殊な印刷技術で仕上がった絵本でした。

鳥がやってきて、一粒の種を大地に落とします。

その内その種から芽が吹き出て、葉が広がり、幹になり、実が成ります。

その成長過程に多くの動物たちが恵みを求めてやってきます。

この絵本、確かに見本帳になっていますが、そこに感じるやさしさがあります。

ただ単純に絵本に仕立てただけでない、気持ちがあるのです。

・・・気持ち・・・

ランチをご一緒した枩山さんの言った言葉がよみがえりました。

「プライドって大事ですよね。表向きのプライドでなく、内に秘めたプライドを持ってる人って素敵と思いません？」

絵本に出てくる大きくなった樹。

その樹から恵みを求めて多くの動物たちがその樹に集まってきます。

私の好きな枩山さんとその樹が重なりました。

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