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TOWEL STORY~魔界篇~第3話

あの不思議な体験からすでに数か月が過ぎていた。

「ミナのことが好きなんだろ!その願い叶えてやるよ。」

あの日、自分の事を見透かしてポン吉が言ったあとに恥ずかしさでしゃべれなくなるかと思ったら、素直になれたのだった。

「好きだけど。向こうは何も思ってないよ。」思わず自分の想いを告白した。

「いやいやそうでもないよ。今年のクリスマス楽しみにしていてね。きっといいこと起こるから・・。」

「クリスマスってなんだよ。」

「いいから、いいから・・じゃあ、このタオルもらってくからな。」ポン吉がそう言うと、周りがもっと真っ白になり、気がつくとジュンは見慣れたいつもの道に1人立っていた。

あの泣いていた男の子はいない。

キツネにつままれた感じがした。

・・・夢だったのか?・・・

その不思議な気持ちは、毎日を過ごしていたらそのうち遠いものとなり、やがて忘れていった。

ただジュンのミナへの気持ちは日増しに強くなる一方で、それを必死に抑えようとする自分がいた。

その気持ちは絶対ミナには知られてはいけないことだった。

だって、幼なじみだし、近所だし、同じクラスだし、想いが伝わらなかったら自分の居場所がなくなると思ったからだ。

しかもミナの雰囲気はいつもの通りで、ジュンの事をただの幼なじみとしか見てない風だったから、なおさらにそう思った。

そんなジュンの張り裂けそうなその気持ちを慰めてくれるのは、タオルだった。

あの雨の日にミナが使ってくれたタオルを抱きしめることで、自分の気持ちを抑えることができたのだ。

そのタオルはジュンにとってミナへの想いを包んでくれる大切な宝モノになっていた。

そしてクリスマスイブがやってきた。

しかも雪が舞っている、ホワイトクリスマスだった。

すっかりポン吉の事は忘れていたが、忘れられないクリスマスになったのだった。

つづく・・。

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