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TOWEL STORY~魔界篇~第2話

ポン吉の話はウソではなさそうだった。

魔界から人間界に行く時はスムーズに来れるが、人間界から魔界に帰る時、何かやさしいものを手にしなければならないルールがあるらしい。

ジュンの持っていたタオルはやわらかくやさしいものだったが、なにより気持ちのやさしさもあふれていた。

「シェリーはあなたのやさしさで魔界に帰ることができたんだ。」

「そんな大げさな。」

「ただ、本当にやさしい気持ちがあったのかもう一度確認したくて、今度は僕が同じようにやってみたんだけど、あなたは本当にやさしい人だ。」

「やめてくれよ。」

「だからさ、あなたの願い事叶えてあげるから、なにかひとつ言って。」

「そんな急に言われても困るよ・・。」

ジュンの心は、ある願い事を言いたかったけど、そんなこと叶うわけないし、口にすることさえ恥ずかしかった。

ジュンは初めての恋をしていたのだった。

幼なじみで、近所に住んでいて、同じクラスの娘で、名前をミナという。

なぜ急に好きになってしまったかというと、きかっけはタオルだった。

雨の日に傘も差さずずぶ濡れになっているミナを見かけたジュンは駆け寄って

「おい風邪ひくぞ。これで拭けよ。」ジュンは自分のカバンからフェイスタオルを取り出し、手渡した。

「サンキュー!」

ミナは、そのタオルで頭や首筋を拭き、肩や胸を拭いた。

その様子をジュンは横でずっと見入っていたら、今まで感じたことのなかった甘酸っぱい感情が胸の奥からわきはじめたのだった。

「タオル洗って返すからね。」 というミナに、「べつにいいよ。」と奪い返したジュン。

そしてひとつの傘の中でミナを送ってから家に帰った。

ジュンは自分の部屋に入って、高まる気持ちを抑えることができなくなっていた。

ジュンの恋の扉が初めて開いたのだった。

「ミナのこと好きなんだろ!その願い叶えてやるよ。」

何もしゃべっていないのに、ポン吉はすべてをわかったように言ったのだった。

つづく・・。

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