BLOG笑う門には七福タオル

オンラインショップ

english

TOWEL STORY~ギフト篇~第2話

DSC03520.JPG

洗い場から脱衣場に移ったユズルはすっかりのぼせていた。

というのも、女湯からの前田先生の指示が多く、しかも従わなければならなかったからだ。

「次は髪を洗うのよ。」

「泡が残らないようにしっかりと流してね。」

「次は湯船に肩までつかるの。」

「つかった?・・じゃあ今度は先生と一緒に歌を歌おう。歌が終わるまで出ちゃだめだよ。」

他の客もいてユズルはとても恥ずかしかったが、まんざら嫌な気持ちにならなかったのは、銭湯内の笑い声に救われからだけでなく、自分のことを構ってくれたことがうれしかったからだ。

「じゃあもう出てもいいわ。ちゃんと体拭くのよ。」

脱衣場に戻り、湯上げ(バスタオル)を手に取り頭からかぶった。

ユズルは湯上げ(バスタオル)を使ったことがなかったので、すごく贅沢な気持ちになった。

その湯上げ(バスタオル)はとてもやわらかく、そしていい匂いがした。

ずっと湯上げ(バスタオル)にくるまれていたいぐらい心地よい気分になり、やはり構ってれたうれしさもあった。

用意してくれた少し大きめの下着は新しかったが、ちゃんと洗濯をしてくれていた。しかもマジックで”ユズル”と名前を書いてくれていた。

「そろそろ出るよ~。いい?」

向こう側の脱衣所から前田先生の声がした。

「うん。いいよ。」

銭湯からは先生とほぼ同時に出た。

「あ~!ユズル君ちゃんと拭いてないなぁ!」

前田先生は、洗面器の中から自分が使った湯上げ(バスタオル)を取り出し広げると、ユズルの頭からかぶせ、両手で頭をゴシゴシと拭きはじめた。

ユズルの頭は先生の両手に挟まれ、左右前後に振られた。

そして二人とも声を出して笑った。

・・・お母さんみたい・・・

ユズルは先生に会ったことも、声も聞いたこともない母をかぶせていた。

湯上げ(バスタオル)からの匂いはお母さんだった。

つづく・・。

コメントを投稿する

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

※いたずら防止のため、メールアドレスもお書き添えください。誹謗中傷等のコメントは削除する場合がございます。

CAPTCHA